腎臓内科

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慢性腎臓病(CKD)について

2013年4月 1日

概念

慢性腎臓病とはchronic kidney disease、略してCKDともよばれ、腎臓の障害あるいは機能低下が慢性的に続く病気のことをいいます。慢性腎臓病は、放置したままにしておくと末期腎不全となって、人工透析や腎移植を受けなければ生きられなくなってしまうことがあります。さらに、慢性腎臓病は人工透析の予備軍であるばかりでなく、その一方で心臓病や脳卒中などの心血管疾患にもなりやすいことが明らかになっています。

症状

慢性腎臓病は初期には自覚症状がほとんどありません。それがこの病気の怖いところで、患者を増加させている原因でもあります。そして腎臓は一度悪くなってしまうと、自然に治ることは難しく、放っておくとどんどん進行して取り返しのつかないことになるおそれがあります。また、慢性腎臓病が進行すると、夜間尿、むくみ、貧血、倦怠感、息切れなどの症状が現れてくることがありますが、これらの症状が自覚されるときは、すでに慢性腎臓病がかなり進行している場合が多いといわれています。

治療

一度悪くなった腎臓の機能を元に戻す特効薬のような治療はありません。そのため、腎臓に負担をかけるさまざまな因子を出来るだけ取り除き、腎臓が出来るだけ悪くなりにくい環境を整え、将来的な腎不全への進行を出来るだけ回避する、というのが慢性腎臓病の治療のコンセプトになります。具体的には、慢性腎臓病の治療は日常生活習慣の改善、食事療法、薬物療法の3つの大きな柱から成り立っています。

まず日常生活習慣の改善についてですが、肥満、運動不足、飲酒、喫煙、ストレスなどは慢性腎臓病の発症に大きく関与しているといわれており、慢性腎臓病を悪くしないためにはこれらの生活習慣を改善する必要があります。

次に食事療法についてですが、慢性腎臓病における食事は減塩、低蛋白、高カロリーが望ましいとされており、腎機能などに応じ上記制限が必要となる場合があります。

最後に、薬物治療についてですが、前述の通り腎臓に直接作用して腎機能を改善させる薬物は現段階では存在しません。高血圧・高脂血症・高血糖など腎臓に負担をかけるさまざまな因子をコントロールすることが慢性腎臓病の治療にもつながるため、それらのコントロールを目的として日常生活習慣の改善および食事療法に加え、薬物療法も必要に応じて行います。

繰り返しになりますが、慢性的に傷んだ腎臓を元にもどす治療は現在の医学では存在しませんので、検診などによる早期発見、そして治療を出来るだけ早期より開始することが重要となります。検診などで腎臓に異常を指摘されたり、その他気になることがあれば早めの医療機関の受診をお勧めします。

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